素人に、『アホ』といわれる、お役人

 今週は『極言暴論』がアップされていた。ゆっくり読んで週末にコメントをアップしようかと思っていたが、英検の結果が良くなく今週は勉強に集中したいので、とっととコメントします。

発注者として最低最悪、公共機関のシステムをどうするのか

何からコメントするか困惑するが、かと言ってあまり時間をかけてもいられないので、決定的な間違いを1つ指摘する。記事の4ページ目の下から2段落目で、政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドラインについて
システムを導入する際には利用部門の業務改革を行うことを義務付けている。全く正しいが、この手の業務改革は民間企業で軒並み失敗しており、ハードルはさらに高くなる。
記事から引用
と言っているがそのガイドラインを見てみたが『業務改革を行うことを義務付けている。』とはどこにも出てこない。近いものでは、『業務の見直し』という章がありそれを引用すると
PJMOは、情報システムの整備を行うときは、制度所管部門及び業務実施部門を中心に、次のとおり検討し、既存の業務の見直しを行うものとする。更改又は機能改修を行うときは、更改又は機能改修の規模、内容等を踏まえ、既存の業務の見直しの必要性を判断した上で、当該見直しを行うものとする。
なお、新たな業務を開始するに当たって情報システムを新規に整備する場合においても、効率がよく、かつ、効果の高い業務となるよう企画立案し、その内容をこの章の5.に規定する業務要件として定義するものとする。
ガイドラインから引用
とあるが、これは『業務改革を行うことを義務付けている。』ということではない。
 いわゆるシステム開発の上流工程では業務分析を行うが、そもそも論として『その業務が必要なのか?』とか『ちょっと業務を変えれば従来システムが使えるのではないか?』ということがある(実際の運用業務開始後でも同様のことが発生するが)。これらは発注時に『なぜそのシステムまたはその改修が必要か?』という質問への回答になり特段リスクの高い作業ではない。こういう話はシステム開発のイロハである。
記事ではガイドラインを熟読したとあるがガイドラインでは『業務改革』という言葉自体が出てこない。
いったい何をどう読んだら『業務改革を行うことを義務付けている。』という解釈が出てくるのか謎だが、少なくとも筆者がシステム開発の素人だということはよく分かった。日常的にシステム開発に携わっているかプロジェクトマネージメントの教科書がきちんと頭に入っていれば、こんな間違いはしないでしょう。まぁ、

自身の不勉強を棚に上げて公共機関に対して『バカ』と言える度胸をほめつつ、「一度、きちんとシステム開発の勉強を行い、発注側および受注側の業務を経験してから評論しましょうね」と言っておこう。

せっかくなので、ガイドラインについてコメントしましょう。
ガイドラインですが極めて基本に忠実な印象があり特段コメントはないですが、抜けているとしたら以下の観点が思いつく。
1.ガイドラインを順守するコスト
2.プロジェクト関係者に対してガイドラインを順守させるリスク
3.ガイドラインにプロジェクトの規模についての観点がない

まず、コストについてですが、ガイドラインの背景および目的には
まさにこの政府情報システムを業務の見直しも通じて効率的かつ効果的に整備及び管理することが電子政府の構築につながり
とあるが、ガイドラインを守らせようとするにもコストがかかる。例えば10人が関わる2時間のレビューを1回すれば少なくとも5万円以上掛かることになるが、プロジェクトを通してレビューにかかる総費用と、レビューをすることにより期待できる費用削減効果を考慮しなければならないでしょう。

次にリスクについて、プロジェクト関係者がどれだけガイドラインを理解しているか?例えば発注者が『業務改革を行うことを義務付けている』と解釈していたらプロジェクトが変な方向に行くでしょう。
その他、官僚的な組織によくあることだがガイドラインを悪用して足を引っ張る人が出てくる。つまりプロジェクト推進派と反対派がいた場合、反対派はガイドラインを盾にとってプロジェクトを妨害する可能性がある(実際そういう現場を見たことがある)。
このように場合によってはガイドラインを守らせることが返ってリスクになる場合もあり得る。

最後に規模の観点について、一般論になるが大規模プロジェクトに関しては充分な準備が必要であるが、小規模なプロジェクトの場合、あれこれ悩むよりやった方が速いこともある。つまり予算が100万円規模の小さいプロジェクトの場合いちいちガイドラインを守るより、別途100万円用意して(つまり計200万用意して)不測の修正に対応してもらった方がうまくいったりする。が、ガイドラインではそのような柔軟性がみあたらない。もっともこれについては国の事業ということの縛りがあるのか、はたまたガイドラインの運用でカバーするということも考えられる。

とまぁ、確かに糾弾されるべきお役人もいるが、的外れな指摘をする素人に『アホ』といわれるお役人には同情するしかない。ガイドラインへの意見でも重箱の隅をつつくようなものもあり、それに対して真面目に対応する様は『ご苦労様』と言いたくなる。
が、だからと言って国民の監視の目を緩めるわけにはいかないのでそういう意味では記事の存在価値はある(中身が残念ではあるが)。
2015-01-26 | コメント:0件

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