知る者は言わず言う者は知らず

今週は早朝&夜勤があったりして仕事が忙しくなったり風邪を引いたりと色々あり、人のコラムにコメントするヒマはないのですが、割と考えさせるテーマなのでコメントします。

皆が大嫌いなコンサルタント、それ以上に無責任な面々のたわ言

要約すると、コンサルタントに業務改革案やシステム計画案を作成してもらい経営会議も通ったが、実施段階でIT部門および利用部門からの反発をくらい、要件が肥大化しコストや期間がオーバーランし、プロジェクトが頓挫したという話である。
記事では、その要因の一つにIT部門が非協力的だった(コンサルタントを敵視する)ということが挙げられており、コンサルタントはいたって普通ということを強調している。
さて、このコラムを読んだ経営者の中に『そっかコンサルタントは罪を擦り付けられたんだな・・・』と納得する人がいれば、まんまとだまされたことになる。

『普通』の業務改革やそのシステム化計画では『ステークフォルダー分析』や『ステークフォルダーマネジメント計画』も合わせて行われる。どういうことかというと、業務改革を実施しようとすると利害関係者が反発することが予測されるので予めどのように対応するかその方針やコスト・期間も含めて計画案を作成するのである。
実際には明確に『ステークフォルダー分析』とかが行われなくても業務改革にあたって利用部門からキーマンを選び出して反発を抑え込むとかも良くやられているかと思われる。
これらのことはプロジェクトマネジメントの基本であり、それが出来ていないのならそのコンサルタントは素人だったというしかない。

という訳で、このコラムの社長さんはシステム開発の素人コンサルに騙されたというのが一番可能性が高いと思われる。

『システム開発の素人でも業務改革案は作れるだろう』と思われるかもしれないがそのような場合でもシステムが関わる部分は専門家に任せるはずでそれをしなかったコンサルはやはり失格だったと言わざるをえない。
素人が自身の無知を顧みずに『コンサルは口だけ』という意見に対して、
改めて言うが、これはコンサルタントがボンクラだからという話ではない。もし「うちの社長がバカなコンサルタントに騙されて」といった類の話が本当ならば、社長は間違いなくボンクラだ。その企業の株主は速やかに社長解任に動いたほうがよい。そうではなく、コンサルティングの結果が極めて正確に企業の課題や解決策を示していても、このような悲喜劇となるのだ。

 理由は簡単。その企業には“当事者”が誰もいないのだ。コンサルタントが大嫌いなIT部門は「あいつらは口だけ」とよく言うが、コンサルタントが“口だけ”なのは当たり前だ。野球のコーチが自らバッターボックスに立ったらおかしいだろう。だから、そんな悪口を言うIT部門は“選手”として、つまり実行の当事者としての自覚が全く無いわけだ。

と、ものの見事に論理をすり替えている。確かに野球のコーチは自分ではバットを振らないが、多くのコーチがかつてバッターボックスに立っており野球についてはプロであり、若手を指導する資格をもった人が行う。素人がコーチにはならないだろう。
ということで、素人なりにプロジェクトの失敗の分析をするのはよいが、きちんとプロに裏を取りましょうねとアドバイスをしつつ

知る者は言わず言う者は知らず

という言葉を送りましょう。


 さて、ここからが本題になりますが、中にはやはりきちんとしたコンサルの方もいらっしゃるし、IT部門の人にも知ったかぶりをするということもある。私自身も基本的にエンジニアとして仕事をしているが、たまにコンサルタント的な依頼を受けたりもするのであまり人ごとと一蹴するわけにもいかない。
今の日本の経済状況を鑑みると、プロジェクトが失敗した場合、社長の御無体で済ませられる訳もなく、次回に備える為に根本的な原因は何処にあるのか見極めたいと思われる方もいらっしゃるかと思う。
もちろん、このブログでその全貌を書ければよいが、そこまで私も出来たエンジニアではないが、簡単にコンサルタントとエンジニアの違いを述べ、このようなボタンの掛け違えのようなことが減ることを願う。

先ずエンジニアは『システムを実現する』に重点を置いている一方で、コンサルタントは『理想に向かっていく』ことに重点を置いているように見える。
これが一番効いてくるのは、無茶な要求をした時の反応で、エンジニアは『それは出来ません』と一蹴するのに対して、コンサルタントは『さすがにお目が高い』と受け入れるところにある。
こうなると経営者としてはエンジニアと話をするよりコンサルタントと話をしたくなるのも当然だか、勘違いしてはいけないのはコンサルタントも内心どう思っているか解らないところで、最終的にはエンジニアに全てを押し付ければよいと考えているところがあり、この点が『コンサルは口だけ』と言われる所以である。
『コンサルは口だけ』というのは割と有名な話で私の半径3メールの経験でも『コンサルタントに開発まで引き受けさせた』とか『プログラムが組めるコンサルタントを呼んだ』とかいうことがあった。つまり口だけではな済ませないようにしたり、口だけではないコンサルタントを選ぶようにするということが行われている。

一方で、あれこれと理由をつけて動かないエンジニアというのも存在するのは事実で、そういう場合に口の達者なコンサルタントをあてがうことも経験上ある。小さな仕事の場合はエンジニアのケツを叩くという意味でうまくいくこともある、が大きなプロジェクトの場合、破たんする可能性が極めて高くなる。

という訳で、IT部門の悪口を言って終わりではなくこの問題は結構難しかったりする。
2015-03-15 | コメント:1件
ミタより
2016-09-18 22:31:32
「知る者は言わず言う者は知らず」で検索してたまたま見かけました。

『皆が大嫌いなコンサルタント、それ以上に無責任な面々のたわ言』と言うコラムに対するコメントとの事ですが、
> さて、このコラムを読んだ経営者の中に『そっかコンサルタントは罪を擦り付けられたんだな・・・』と納得する人がいれば、まんまとだまされたことになる。
> という訳で、このコラムの社長さんはシステム開発の素人コンサルに騙されたというのが一番可能性が高いと思われる。
この意見に同感します。

コンサルが口にするのは基本的に一般論です。しかし一般論と特殊論は同じではありません。
良い例が株の売買です。
安い時に買って高いときに売る。一般論を口にするだけなら小学生にでも容易に出来ます。
が、特殊論・・・具体的にどの株をいつ買い、いつ売るか。それが言う程簡単ではないからこそ、現実問題として損をする人が居るのです。
それと同様に、一般論を如何にその会社の状況に適した現実的な特殊論に構築しなおすか?
対案のないダメ出しや抽象的な一般論は要らない。実現可能な具体案を出す事。
それがコンサルに求められている事の筈なのですが・・・それが出来ていない単なる評論家レベルのコンサルが多いからこそ、「口だけ」と言われるのでしょうね。

私もソフトウェアエンジニアで、今はとある企業で社内SE兼データ分析的な業務をしています。
SEの本分は単なるソフトウェアの設計にあらず。
会社で求められる抽象的な要望から潜在的な物を含む目的を突きとめ、現状分析をして問題点を洗い出して、それを解決する方法と流れ(システム)を設計・構築する事にあります。
それ故、単にソフト開発と言う狭義のシステムだけではなく、業務フロー構築や業務データ分析も含んだ広義のシステムの設計・構築ついてもエンジニアリングの対象であり、会社でもその観点から参加しています。

業務改革。それは当然ながら期間・コスト・変更内容共に現実的かつ実現可能なものである必要があり、業務改革による関連部門の混乱を最低限に抑える現実的な提案である必要があります。
その為には業務内容についての十分な理解が必要です。
情報を制する者は世界を制すると言いますが、適切な判断をする為には正確かつ十分な量の情報が必要です。
なので、当然ながら関連部門の十二分な現状調査が必須ですし、実行部隊である現場の方々の理解を得ることは最重要の課題です。

ご紹介されたコラムは見ておりませんが、要約を拝見する限りは実施段階でIT部門と利用部門と言う、最重要の部門からの反発と言う事ですので、経営陣が実行部隊である現場に対して業務改革を行う意義の説明を怠ったのだろうと推測できます。
またIT部門から反発があったのは、提案されたのが現実的・論理的な計画ではなかった。すなわちコンサルのレベルの低さが露呈したのだろうな、と推測されます。

業務改革が行われると言う事は、殆どの場合は業務フローの変更を伴います。
日々の業務を止める事が出来ない以上、安易な業務フローの変更は各所に混乱を生じさせるだけです。
もちろん、それで最終的に会社が繁栄して業務効率も向上するなら実施する価値があります。
経営陣はコンサルを呼ぶ前に、その点をIT部門と利用部門に説いて協力を仰ぐべきであり、現状の問題点などを直接現場から聞いておくべきだと思います。

業務改革についてはアサヒもぎたてのCMが意外と的を射ています。
例え素人の意見であってもそれが理にかなっていて、現場に「これならいける」と思わせるだけのプレゼンがあれば人は動いてくれるものです。(これは私が会社で実際に行っている事でもあります)
会社であれなんであれ、組織というのは人が集まって出来ています。
組織として力を発揮するには連携が大切で、その為に重要なのは意思疎通でありコミュニケーションです。
それも無しに、単なる上から命令を押しつけるだけでは組織として上手く動かないのは自明の理でしょう。

それにしても
> 野球のコーチが自らバッターボックスに立ったらおかしいだろう
の比喩には笑いますね。
この一点だけでも、この人は何も分かっていないんだろうな、と感じます。

コーチのアドバイスは名選手の発言だからこそ、聞く価値があるのです。
自分で打てもしないど素人コーチのアドバイスを聞くプロの選手がいると思うか逆に聞きたいですね。

野球で例えれば9番バッターに「ホームランを打て(打てずに負けたらお前のせいだ)」とサインを出す監督がいたらどうでしょう?
現実的な作戦を立てられないと言う事で監督の方が球団オーナーから首を宣告されるでしょう。
事業改革の失敗をIT部門のせいにするのはそれと同じ行為と認識できない時点で経営者としてアレな感じがします。(笑)

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